宿泊税とは?
宿泊税は、ホテルや旅館などの宿泊施設を対象に導入されている税金で、泊まる人に対して課される税金です。
宿泊税は、国税ではなく、地方税のひとつです。地方税法に次のような定めがあり、これに基づいて自治体が導入するかどうかを決定します。
第731条 道府県又は市町村は,条例で定める特定の費用に充てるため,法定外目的税を課することができる。
2 道府県又は市町村は,法定外目的税の新設又は変更(法定外目的税の税率の引下げ,廃止その他の政令で定める変更を除く。次項及び次条第二項において同じ。)をしようとする場合においては,あらかじめ,総務大臣に協議し,その同意を得なければならない。
自治体にとっては、自分たちで独自の財源を確保できることから、観光地を有する自治体で特に注目を集めています。
なお、ヨーロッパやアメリカの都市では昔から宿泊税を課している都市がいくつも存在します。
なぜ宿泊税が徴収されるのか
宿泊税は、なぜ導入が相次いているのでしょうか。
宿泊税が徴収される理由は、主に、観光振興のための施策を実行する財源を確保するためです。
具体的には、市街地と観光地を結ぶ交通インフラを整備したり、観光地の自然環境の保護・保全に役立てるといった目的に使われます。
背景には、ここ数年急増する訪日外国人(インバウンド)の受け入れ体制を整備する必要性もあります。いわゆる「おもてなし」をより充実させるために使われるとのことです。
<宿泊税の目的・使途>
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ちなみに、観光に関連する新しい税として日本からの出国時に1,000円を徴収する「国際観光旅客税」も創設されました。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
東京と大阪に次いで京都でも導入
東京都では、日本で初めて、2002年10月に宿泊税が導入されています。
その後、しばらく導入する自治体はありませんでしたが、大阪府で同じような制度が2017年1月から開始されました。
そして、全国3番目として、京都市で2018年10月1日から宿泊税が導入されることとなりました。
京都は、日本人か外国人かにかかわらず、年間を通して常にトップクラスの人気を誇る観光地です。
観光客の増加により京都市では特にバスの混雑がひどく、日常生活でバスを利用する市民から不満が高まっている状況もみられます。
宿泊税の徴収によりこれらの混雑解消のための施策が実行されることが期待されます。
宿泊税はいくら?
東京都の宿泊税
東京都で導入されている宿泊税は次の通りです。
- 10,000円以上15,000円未満:100円
- 15,000円以上:200円
これは、1人1泊当たりの金額です。
したがって、例えば都内で12,000円のホテルに3泊する場合、宿泊税は300円(3泊×100円)かかります。
東京都では、1人1泊10,000円未満であれば課税されない点が特徴です。
なお、2020年の東京オリンピック・パラリンピック期間中は宿泊税を課税しないこととされています。
これは、オリンピックの招致を行う際に約束した事項でもあり、税金が徴収される人と免除される人の確認などの事務的な負担をなくすことを目的にした例外措置です。
大阪府の宿泊税
大阪府では次の通りです。
- 10,000円以上15,000円未満:100円
- 15,000円以上20,000円未満:200円
- 20,000円以上:300円
大阪府も東京都と同様に、1人1泊10,000円未満であれば課税されません。
参考:大阪府の宿泊税について
京都市の宿泊税
京都市では次の通りです。
- 20,000円未満:200円
- 20,000円以上50,000円未満:500円
- 50,000円以上:1,000円
京都市の宿泊税の特徴は、東京・大阪と異なり、宿泊料金に制限を設けず、料金の安い場合も含めてすべての施設に課税される点です。
また、徴収される金額も最高額が1,000円となっており、東京や大阪と比べてかなり高く設定されています。
なお、京都と言えば中学・高校の修学旅行先として定番ですが、修学旅行などの学校行事で訪れる場合(引率者も含む)は、課税が免除されます。
まとめ
宿泊税は、京都市での導入が3例目となりますが、今後も北海道や金沢市、沖縄、福岡を始めとする全国各地の自治体で開始が検討されています。
観光産業の振興は日本にとって重要な課題ですので、明確な使途と目的をもって運用されることが期待されます。