給与支払報告書とは?
給与支払報告書とは、従業員に給料を支給した場合に、市区町村に提出することが必要な書類のことです。
この給与支払報告書は、「総括表」と「個人別明細書」の2種類の書類で構成されており、それぞれの概要は以下の通りです。
書類の名称 | 概要 |
総括表 | 報告人員や、徴収方法などを市区町村ごとに取りまとめたもの。「表紙」のイメージです。 |
個人別明細書 | 前年中(1年間)に従業員に対して支給した給与等について記載したもの。内容的には、源泉徴収票と同一の内容を記載します。 |
給与支払報告書は、住民税の課税にあたり、自治体が税額の計算を行うために提出が求められるものです。
提出期限は、1月末です。
給与支払報告書の提出義務は?
給与支払報告書の提出義務については、在職者と退職者に分けて規定がされています。
在職者の場合
在職者、つまり、翌年1月1日時点で従業員として在籍している者の場合、所得税の源泉徴収義務がある事業主(給料等を払う側)は、法人なのか個人なのかを問わず、前年中に支払った(支払いの確定した)給与について、提出義務が生じます。
これは、給与支払額が多いか少ないかは関係ありません。
給料の額が少ないからと言って免除される規程はありません。
アルバイトやパート、乙欄適用者も提出義務あり
給与支払報告書の提出義務は上記の通りですので、いわゆる正社員だけでなく、アルバイトやパートの人に給料を払った場合も含まれますし、役員に対する報酬も含まれます。
また、源泉徴収時における乙欄適用者も同様に対象です。
年末調整が必要かどうかとの違いに注意
よく勘違いされることが多いのが、年末調整の対象者との関係です。
年収が2千万円を超える人については、年末調整は不要とされていますが、給与支払報告書の提出まで不要と認識すると提出漏れが起こります。
年収が2千万円を超える人も、給与支払報告書の提出は必要です。
「年末調整を行うかどうか」と、「給与支払報告書の提出義務があるかどうか」は、同じではない、ということです。
提出しないと罰則がある
給与支払報告書の提出義務があるにもかかわらず提出をしなかった場合、または、虚偽の記載をして提出した場合は、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処せられることが定められています。
地方税法第317条の7に規定されています。
給与支払報告書の提出先(在職者の場合)
給与支払報告書の提出先は、給与の支払いを受けた人(従業員等)が翌年の1月1日現在で居住する区市町村長宛て、となります。
例えば、2019年の1年間(2019年1月~2019年12月)に支払った給与に対するものは、2020年1月1日現在でその従業員が住んでいる自治体に提出する、ということです。
退職者の場合
退職者の場合も、基本的には、在職者と同様に支払った給与等を取りまとめて報告する必要があります。
しかし、退職者については免除規程があり、退職した年の給与支払額が30万円以下である場合は、提出を省略できることとなっています。
ただ、実際には、退職者で30万円以下の場合であっても、自治体によっては提出をお願いされることがあります。
給与支払報告書の提出先(退職者の場合)
前年中に退職した従業員については、退職した日現在で居住していた区市町村長宛てに提出します。
まとめ
給与支払報告書の提出義務については、給料等を支払っている場合、在職者は基本的にすべての人が対象となり、退職者についても30万円の免除規程はあるものの、それ以外は対象となります。
提出しない場合の罰則もありますので、提出漏れが生じないよう注意が必要です。