株主優待を目的に株を長期保有する場合、短期的な株価の動きに左右されず、長期的な視点でその企業の経営状態や財務の健全性を分析して投資を行うことが重要です。
おすすめの株主優待銘柄「ANAホールディングス」を分析します。
ANAホールディングスの優待内容
優待内容 | ・国内営業路線を片道1区間50%割引で利用できる「株主優待番号ご案内書」
・自社グループ優待券 |
権利確定月 | 3月、9月 |
株主優待番号ご案内書
ANAホールディングスの株主になると、国内営業路線を片道1区間50%割引で利用できる「株主優待番号ご案内書」を受け取ることができます。
ANAに搭乗する予定がある場合、片道の料金が半額となるため、割引金額に換算しても非常にお得な優待です。雑誌などでよく特集される「お得な株主優待ランキング」でも常に上位にランクインしています。
優待は最低取引単位である1単位(100株)で獲得できます。2018年3月の株価は約4,000円であり、優待を獲得するためには最低約40万円が必要です。
なお、100株が最低単位ですが、保有株数に応じて以下の枚数の優待券を受け取れます。
- 100株:1枚
- 200株:2枚
- 300株:3枚
- 400株:4枚
- 600株:5枚
- 800株:6枚
- 1,000株:7枚
- 以降400株ごとに1枚増
400株までは100株ごとに1枚の優待券を受け取れるため最もお得です。それ以降は1枚の優待券を受け取るのに必要な保有株数が200株ごと・400株ごとに増えています。
自社グループ優待券
上記の優待搭乗券のほか、グループ各社と提携ホテルで利用できる優待クーポン券の入った冊子もあります。
優待の内容は、インターコンチネンタルホテル、ANAクラウンプラザホテル、ホリデイ・イン、ANAホテルでの宿泊で20%割引となる優待券が6枚もらえます。
飛行機にはそれほど乗らなくてもANAグループのホテルをよく利用する、といった場合はお得な内容です。
宿泊のほか、ツアーの割引券や売店(ANA FESTA等)で使える割引券、ゴルフ場利用料金の割引券などもあります。
ANAホールディングスの財務分析
ANAは、国内線・国際線ともに首位の航空会社です。
傘下にLCCのバニラエアとピーチ(Peach Aviation)があります。
売上高
- インバウンドによる訪日客の取り込みが寄与し、売上高は1兆9千億円を超える
- 今後の売上高は2兆円を上回る計画
- 売上高の15%~20%が海外(主に米州、欧州、中国、アジア)の売上であり、残りは日本国内の売上
- 運航の支障となる自然災害(台風、積雪など)によるマイナス要因をカバー
- 平成30年3月期にはピーチを持分法適用関連会社から子会社化していることが増収の一因になっている
利益
- 平成22年3月期は新型インフルエンザの世界的流行により大幅な赤字
- 今後も重大な感染症の蔓延等が発生すれば大きな減益のリスクになる
- 平成28年3月期以降、経常利益は1,000億円を上回って推移
- 航空業界は一般的に景気動向による影響を受けやすいことから、不景気になると業績が大きく落ち込む特徴がある
- 燃料価格については、原油価格に連動するため高騰すると業績を圧迫する
- 平成26年3月期の減益の一因はこの燃油費の増加と為替レートが不利に動いた影響
資産
- 多額の固定資産(航空機)を保有
- 航空機は約300機を保有(約200機が購入機、約100機をリースにより調達)
- 航空機はその多くをボーイング社から調達しており依存度が高い
- 借入金と社債による資金調達を行っているが、自己資本比率は40%程度であり、ある程度健全
キャッシュ・フロー
- 本業からの現金の収支を示す営業活動によるキャッシュ・フローは毎期プラスで推移
- 投資活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなるのは、航空機や機材の取得のための支出であり、ここ数年のインバウンド需要の高まりに伴って投資は拡大傾向にある
- 借入金と社債により資金調達を行っていることから、財務活動によるキャッシュ・フローは返済期日のタイミングにより大きくマイナスとなることがある