株主優待を目的に株を長期保有する場合、短期的な株価の動きに左右されず、長期的な視点でその企業の経営状態や財務の健全性を分析して投資を行うことが重要です。
おすすめの株主優待銘柄「ニプロ」を分析します。
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ニプロの優待内容
優待内容 | JCBギフトカード |
権利確定月 | 3月 |
ニプロの株主優待は、JCBギフトカードです。
優待は300株から獲得できますが、保有する株数に応じて獲得できる優待内容が異なります。
- 300株以上 :1,000円相当
- 500株以上 :2,000円相当
- 1,000株以上:1年以上3年未満継続保有の場合、5,000円相当
- 1,000株以上:3年以上5年未満継続保有の場合、10,000円相当
- 1,000株以上:5年以上継続保有の場合、15,000円相当
注意点が2点あります。
1点目は、1年以上継続して株を保有している場合にのみ、優待をもらえる権利が発生する点です。したがって、権利獲得日前後の数日間だけ保有するような短期の株主には、優待の権利はありません。
2点目は、最低取引単位である1単位(100株)では優待を獲得することができない点です。優待をもらうためには最低でも300株保有することが必要です。多くの企業は最低取引単位の100株で優待を獲得できるため、300株からしか獲得できない会社は珍しいと言えます。
2018年3月の株価は約1,500円であり、優待を獲得するためには300株が必要であることから、最低約45万円が必要です。
優待品は、6月下旬から7月上旬頃に送られてきます。
ニプロの財務分析
ニプロは医療機器、医薬品の製造・販売を行う業界大手の企業です。東証一部上場です。
グループ(連結)全体の従業員数は、約28,000名にのぼります。
総合医療機器メーカーですが、中でも人工腎臓に強みがあります。
売上高
- 売上の約60%が日本国内の売上、残りが海外での売上
- 医療品・医薬品業界はあまり景気に左右されないうえ、高齢化社会や新興国での医療水準の高度化が見込まれることから、業界全体として成長傾向にある
- 収益の柱はダイアライザと呼ばれる人工腎臓を中心とする透析関連の製品で、ダイアライザは人工透析に不可欠な製品
- 人工腎臓は日本国内では急激な需要の伸びは想定されないが、海外(特に中国やインド)で今後の経済発展に伴い市場規模が大きく拡大することが予想される
- 今後は世界シェアをどれだけ確保できるかが重要となるが、海外展開にはその地域特有の法規制や政治的変動が起きることがありリスクになりうる
利益
- 事業のメインである医療関連事業と医薬関連事業は黒字であり、収益性が安定している
- 一方、ファーマパッケージング事業(医療用ガラス材料などの販売)は赤字であるが、全体に占める割合は小さく、会社全体の業績に大きな影響はない
- グループ全体で多額の製造設備を有していることから、収益性が低下した場合は巨額の減損損失の計上を迫られる可能性がある
- 海外に多くの子会社を有していることから、為替レートの変動によっては業績に不利に働くリスクがある
資産
- 海外の子会社に多額の製造設備を有しており、特にタイ・インド・中国・インドネシア・ベトナムなどに大規模な工場を有している
- 自己資本比率は低く、30%を下回って推移しており、同じ業界の他社と比べても低めである
- 多額の借入を行っていることが自己資本比率の低下の要因
- ただし、売上が増加傾向で成長力があることから、借入により資金を調達し成長を加速させているためのもので、安全性に大きな懸念があるとは言えない
キャッシュ・フロー
- 本業からの現金の獲得を表す営業活動によるキャッシュ・フローは毎期プラスを維持しており、安定性がある
- 設備投資を積極的に行っており、投資活動によるキャッシュ・フローは毎期マイナスである