株主優待を目的に株を長期保有する場合、短期的な株価の動きに左右されず、長期的な視点でその企業の経営状態や財務の健全性を分析して投資を行うことが重要です。
おすすめの株主優待銘柄「吉野家ホールディングス」を分析します。
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吉野家ホールディングスの優待内容
優待内容 | 飲食券 |
権利確定月 | 2月、8月 |
吉野家ホールディングスの株主優待は、半期ごとに300円の飲食券10枚(3,000円分)です。
権利確定月である2月末と8月末の半期ごとにもらえるため、株を1年間保有していた場合は20枚(6,000円分)になります。
保有株数に応じて以下の枚数の飲食券がもらえます。
- 100株:半期ごとに10枚(3,000円分)
- 1,000株:半期ごとに20枚(6,000円分)
- 2,000株:半期ごとに40枚(12,000円分)
飲食券は、国内の吉野家、はなまる、アークミール、京樽の各店舗で使用でき、会計時に複数枚を使うこともできます。なお、飲食券のみで支払う場合はお釣りは返ってきません。吉野家の牛丼並盛は380円ですので、優待券1枚(300円分)と現金を組み合わせて支払うのがお得です。
<利用できる主な店舗>
- 吉野家
- そば処
- はなまるうどん
- ステーキのどん
- フォルクス(VOLKS)
- しゃぶしゃぶどん亭
- ドン・イタリアーノ
- 京樽
- 海鮮三崎港
- すし三崎丸
優待は最低取引単位である1単位(100株)で獲得できます。2018年3月の株価は約2,100円であり、優待を獲得するためには最低約21万円が必要です。
飲食券は、2月末時点の株主には5月上旬から中旬に届きます。8月末時点の株主には11月中旬から下旬に届きます。
吉野家ホールディングスの財務分析
牛丼屋の老舗としてブランドを確立している、牛丼で国内2位の企業です(首位は「すき家」を展開するゼンショーホールディングス)。
セルフ式うどんチェーンの創始とされる「はなまるうどん」も手がけています。
売上高
- 売上は吉野家・はなまる・アークミール・京樽で構成されているが、約半分が吉野家であるため、吉野家の業績がグループ全体の収益を左右する
- 国内の牛丼市場はやや頭打ちのため、吉野家以外の収益力の向上が今後の増収のカギ
- 最近は携帯会社とのタイアップやクーポンにより客数を大幅に増加させることに成功
- はなまるが出店攻勢を強める一方、アークミールは相対的に収益性が低い
- グループ全体の店舗数はここ5年一貫して増加
平成26年2月期 平成27年2月期 平成28年2月期 平成29年2月期 平成30年2月期 店舗数 2,850 2,882 2,923 3,074 3,179 - 海外出店を加速させており、平成30年2月末時点で国外の店舗は821店(全体の約4分の1)
- 今後は国内の消費動向のみならず、海外(特にアメリカ、アセアン地域)での業績の動向に対する重要性が増す
利益
- 景気の影響を受けやすく、消費者が外食を控える傾向が強まると減益となる
- 平成22年2月期はリーマンショックの1年後であり、不景気の影響を顕著に受けて営業損失を計上したほか、不採算店舗に係る巨額の減損損失を計上した結果大幅な当期純損失となっている
- 原材料の値上げの影響も小さくなく、平成25年2月期は牛肉価格の高騰により前期と比較して大幅な減益となったうえ、最終的に当期純損失に陥った
- 景気が急激に悪化しない局面では安定的な利益を獲得しているが、グループ全体で1万7千人を超えるアルバイトを抱えていることもあり、今後は人件費の高騰への対処と人材確保も重要
資産
- 自己資本比率は約50%で推移しており、一般的に安定企業と言われる水準
- 平成27年2月期は自己株式を大量に処分(売却)した影響で資産額は増加
キャッシュ・フロー
- 本業からの現金の獲得を表す営業活動によるキャッシュ・フローは、各年度ともプラスを維持
- 投資活動によるキャッシュ・フローは出店の加速に応じてマイナスとなる
- ただし、平成28年2月期の投資活動によるキャッシュ・フローの大幅なマイナスは、定期預金への資金の預け入れの影響が大きく、実態は設備投資ではない
- 借入金による資金調達を行っているため、借入と返済のタイミングによって財務活動によるキャッシュ・フローはプラスにもマイナスにもなる(なお、平成27年2月期は大量の自己株式の売却(153億円)の影響で大きくプラス)