株主優待を目的に株を長期保有する場合、短期的な株価の動きに左右されず、長期的な視点でその企業の経営状態や財務の健全性を分析して投資を行うことが重要です。
おすすめの株主優待銘柄「岡山製紙」を分析します。
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岡山製紙の優待内容
優待内容 | クオカード 1,000円分 |
権利確定月 | 5月 |
岡山製紙の株主優待は、1,000円相当のクオカードです。
岡山製紙はこれまで株主優待制度を設けていませんでしたが、平成30年5月末時点の株主を対象に株主優待の導入を決定しています。
優待内容であるクオカードは、コンビニやドラッグストア、ファミリーレストラン、書店、ガソリンスタンドなどで使用でき、とても使い勝手の良い商品券(プリペイドカード)です。利用できる店舗は、全国でおよそ57,000店にのぼります。
優待は最低取引単位である1単位(100株)で獲得できます。2018年5月の株価は約850円であり、優待を獲得するためには最低約8万5千円が必要です。
クオカードは、5月末時点の株主に送られてきます。
岡山製紙の財務分析
岡山製紙は、中国・四国地方を地盤とする板紙の製造・販売を主力とするJASDAQ上場の企業です。本社は岡山市にあります。
筆頭株主は王子ホールディングスで、約41%の株を保有しており、同社と企業グループを形成しています。
売上高
- 売上高は、板紙事業が約8割、美粧段ボール事業が約2割で構成されている
板紙事業 段ボール製造用原紙の一品種である中芯原紙及び紙、布、セロファン、テープ、糸などの巻しんに使用される紙管原紙の製造販売 美粧段ボール事業 青果物、食品、家電製品等の包装箱や贈答箱の製造販売 - いずれの事業も日本国内向けの需要に依存しているため、内需や国内景気が減退すると減収となる
- 長期的にみると需要は軟調に推移しており、売上高は右肩下がりの傾向が継続
- 業界全体として、インターネット通販の市場拡大に伴う段ボール用原紙の需要は一定程度あるものの、今後板紙の国内需要が飛躍的に伸びることは期待できない
利益
- 板紙事業は黒字を確保しているが、美粧段ボール事業は継続して赤字である
- 古紙を原料として紙を製造しているが、近年は海外(特に中国)における古紙の需要増を背景に仕入れ価格が上昇しており減益を強いられている
- なお、製造原価に占める材料費の割合は約6割であるため、古紙価格の変動が損益に大きな影響を与える
- 燃料としてガスを使用しており、国際市況の変動によるガス価格の上昇も利益の圧迫要因となる
- 需要が伸びない業界である中において原材料価格の上昇が利益を悪化させるため、いかに製品価格(販売価格)を維持・上昇させ、粗利を確保するかが収益性向上のカギ
資産
- 製造のための機械装置を保有しているが、取得から年数が経過しており減価償却が相当程度進んでいる
- 借入金がなく、手元資金が潤沢
- 自己資本比率は60%を超えており、財務状況は健全
- 投資有価証券の残高が約27億円あり、営業・財務の関係性強化を目的として比較的多額に保有している(主な銘柄は塩野義製薬、中国銀行、コクヨほか)
キャッシュ・フロー
- 本業からの現金の獲得を示す営業活動によるキャッシュ・フローは毎期プラスで推移しており、安定性がある
- 現金及び現金同等物の残高が30億円を超えており、資金繰りは非常に良好と言える
- 製造メーカーであるが、新規の設備投資はかなり少ない
- 平成28年5月期には自己株式を多額に(約3億8千万円)取得した影響で、財務活動によるキャッシュ・フローが大きくマイナスとなった