キャッシュレスポイント還元の仕訳と消費税について

2019年10月1日から、消費税率が8%から10%に引き上げられました。

そして、これに合わせて、キャッシュレスポイント還元が開始されています。

キャッシュレスポイント還元は、消費税増税から9か月間限定の政策ですので、2020年6月には終了します。

ポイント還元期間:2019年10月~2020年6月

キャッシュレスポイント還元を受けた場合、仕訳がこれまでよりもやや複雑になります。

また、消費税についても留意が必要です。

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キャッシュレスポイント還元の仕訳

キャッシュレスポイント還元

キャッシュレスポイント還元を受けた際の仕訳について、具体的な仕訳例を示すと、次のようになります(税込経理方式の場合)。

【具体例】

事業で使用する消耗品11,000円(税込み)を店頭で購入した。キャッシュレスポイント還元により、5%に相当する550円分の還元を受け、実際にレジで決済した金額は10,450円であった。

【仕訳】

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 11,000 現金 10,450
雑収入 550

上記の仕訳のように、借方の消耗品費は、キャッシュレスポイント還元を受ける前の金額(11,000円)で計上し、還元額を雑収入で収益計上することになります。

レジで実際に決済したのは10,450円ですが、これをこのまま費用計上するのではないところがポイントです。

雑収入として仕訳を入力する際、摘要には、「キャッシュレス還元額」などと記載しておきましょう。

還元部分の消費税は「不課税」

上記の仕訳では、キャッシュレスポイント還元により値引きを受けた部分を「雑収入」という勘定科目で計上しました。

キャッシュレスポイント還元の部分は、消費税取引上、不課税取引に分類されます。

消費税における不課税取引とは、そもそも課税の対象とならない取引のことで、消費税の課税対象の要件である「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡」等に当たらない取引のことです。

例えば、国外取引、対価を得て行うことに当たらない寄附や贈与、補助金、給与、保険金、出資に対する配当などが、不課税取引になります。

キャッシュレスポイント還元「以外」の仕訳

キャッシュレスポイント還元ではない、通常の還元(たまったポイントを使用した値引きなど)を受けた場合は、次のように仕訳を行います。

【具体例】

上の例と同様に、11,000円の消耗品を購入する際に、5%(550円)の値引きを受けたケースです。

【仕訳①】

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 10,450 現金 10,450

この仕訳は、還元前(値引き前)の金額である11,000円と、還元額(値引き額)である550円が相殺されて、差額として実際に支払った額(10,450円)が仕訳に示されています。

そのため、もともとの還元前の金額と値引きを受けた額が、この仕訳だけからは分からなくなっています。

基本的には、この仕訳で問題ありません。

ただし、もともとの金額と値引きの額を仕訳上からも読み取れるようにするためには、以下のように仕訳を行うことも考えられます。

【仕訳②】

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 11,000 現金 10,450
消耗品費 550

2行目の仕訳がポイントを使って値引きを受けた金額を表すため、仕訳を見て、いくらのポイントを利用したかが分かるようになります。

2行目の仕訳の摘要には、「ポイント使用による値引額」などと記載しておくと分かりやすいでしょう。

まとめ

キャッシュレスポイント還元は、2020年6月までの事業であるため、ここで示した仕訳が必要になるのも、その期間のみです。

ちなみに、キャッシュレスポイント還元事業が終了した後、新たに「マイナポイント事業」というものが開始されます。

マイナポイントの概要はこちらの記事で解説しています。

キャッシュレスポイント還元事業に続く政策として、マイナポイント事業が始まります。 還元率が高いこともあり、注目を集めています。 マイ...

キャッシュレスポイント還元事業は、2020年6月までの期間限定の政策ではありますが、仕訳処理をミスなく実施しておくことが重要です。

会計処理のポイントは、還元額を雑収入で計上することと、還元部分の消費税が不課税となる、という2点です。

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