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日商簿記2級の試験範囲の改定は、特に平成29年の試験から影響大

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史上稀にみる、大幅な改定があります

日商簿記検定とは、日本商工会議所および各地商工会議所が実施する簿記に関する試験です。

試験はレベルに応じて、1級、2級、3級、初級の4つの種類があります。

その中でも2級は受験者数も多く、合格すれば大学の推薦入学に有利になったり、就職や転職の際にもプラスになることから、学生やビジネスパーソンを問わず、とても人気の高い資格のひとつです。

<日商簿記検定試験2級の概要>

試験日 年3回(6月、11月、2月)
試験科目 商業簿記・工業簿記
試験時間 120分
合格基準 70%以上の得点(足切りはなし)
受験料 4,630円(税込)
受験資格 なし(2級からの受験や、1・2級、または2・3級の併願受験も可能)

今回、この2級の試験範囲が大幅に改定されることになりました。

2級の範囲から除外される論点も多数あるのですが、それよりも今回の改定で1級から降りてくる論点が複数あり、影響が大きいことが想定されます。

改定は平成28年の試験から段階的に行われますが、特に影響の大きいのは平成29年度の試験(第146回以降の試験)から適用される改定です。

平成29年6月(第146回)以降の改定内容

追加される論点

・リース取引

リース取引はこれまですべて1級の範囲でしたが、現在では様々な企業で広く一般的にリースの実務が行われていることを受け、2級の範囲とされました。

リース取引とは、具体的にはコピー機や社用車のリースに代表されるように、リース会社からモノをリースし、代金を契約期間にわたって支払っていくような取引を指します。

なお、リース取引に関するすべての論点が2級の範囲に移行されたわけではなく、利子抜き法での利息法や級数法によった場合の処理、セール・アンド・リースバック取引などの複雑な計算を伴う論点は1級の範囲に残ります。
2級の範囲となるのはそれ以外の比較的簡単な論点のみであり、リースの借手側の処理でかつ、利子込み法または利子抜き法によった場合は定額法に限定するなど難易度を上げない配慮がなされます。

・外貨建取引

外貨建取引もリース取引と同様に、これまではすべて1級の範囲でした。しかし、企業の活動がグローバル化していることや、中小企業であっても海外との取引(海外からの仕入れ、海外への販売など)を行っていたり、製造拠点を海外へ移したりしているケースが増えてきていることを受け、2級の範囲とされました。

外貨建取引は理解するのはそれほど難しくはありません。ただ、外貨で行われた取引を日本円で回答しなければならないため、適用する為替レート(取引日のレートなのか、決済日のレートなのか、期中平均レートを用いるのか)を慎重に選択し、計算ミスを防ぐことが重要です。

・圧縮記帳

圧縮記帳は、固定資産の取得に関連して国から補助金を受け取った場合や、火災などの保険金を受け取って固定資産を購入した場合などに行われる会計処理です。イメージとしては、補助金等の分だけ固定資産を安く購入できたような処理になります。こちらも実務で広く行われていることから2級の範囲に追加されました。

圧縮記帳の会計処理は、直接控除方式と積立金方式の2パターンありますが、2級の範囲とされたのは比較的簡易な直接控除方式のみです。
直接控除方式とはその名の通り、補助金などとして受け取った金額を固定資産の取得原価から直接減額させる会計処理です。

・課税所得の算定方法

これまでの2級の試験では、税金計算を正確な意味で問うことはなく、例えば「税引前当期純利益の○%を法人税、住民税および事業税として計上する」というような形で算定するような問題が出題されていました。

本来、法人税法において税額は課税所得に税率を乗じて算定します。
課税所得は益金から損金を差し引くことで求められるものであり、会計上の収益・費用とは概念が異なるものです。
そのため、会計上の収益・費用から算出される税引前当期純利益と、税務上の益金・損金から算出される課税所得が異なる概念であることを理解しておく必要性があることから、2級の範囲に追加されました。

・連結会計(出題は平成29年11月の試験から)

今回の改定の最大の目玉は、連結会計が1級から2級の範囲へ移行されたことです。

出題は平成29年11月の試験、すなわち第147回の試験からです。

連結会計とは、親会社と子会社の関係など、支配従属関係にある企業集団をあたかも一つの企業であるかのように捉え、企業グループとして合算された財務諸表を作成する会計のことです。現在の財務報告制度の中では広く定着しており、特に上場企業を対象としたディスクロージャー制度においては連結財務諸表がメインとなっており、個別財務諸表に関する開示情報は簡素化の流れにあります。この流れを受け、2級でもある程度連結会計の知識を得ておく重要性が高まったことから1級から2級へと移行されました。

連結会計は1級の受験者でも苦手意識を持っている人が多く、合否を分ける大きな論点になっています。これが2級の範囲とされたことは、長い日商簿記検定試験の歴史の中においても非常に大きな意義を持ちます。

2級の試験で問われる連結会計の論点はある程度限定的とされています。しかし、それでも連結会計の全体像や基本的な考え方を理解するためにはまとまった時間を要するため、学習時間が増えることが想定されます。

なお、実務において連結会計の重要性が高まってきている(今後もますます高まっていく)ことを踏まえれば、この論点を切り捨てて合格を目指すのは現実的ではありません。すべてを得点できなくても、本当に基礎的な部分だけでも得点できるように準備をするべきでしょう。

・税効果会計(出題は平成30年6月の試験から)

税効果会計もこれまではすべて1級の範囲でした。

税効果会計とは、会計上の利益計算と税務上の所得計算との間で生じた一時的な差異を調整するための会計上の手続きのことです。実務で税金計算に携わったことがあれば「なぜ税効果会計が必要なのか?」をイメージしやすいですが、税務の知識がない場合、最初は理解するのに苦しむ分野です。

なお、税効果会計の対象となる一時差異について、2級の試験で問われるものは簡易なもの(引当金や減価償却超過額、その他有価証券評価差額金の税効果)に限定されています。

・製造業を営む会社の決算処理(出題は平成30年6月の試験から)

今回の改定で新たに2級の商業簿記において出題される形式が追加されました。

内容としては、製造業においては商業簿記と工業簿記が相互に関連して会計処理されている実情を踏まえ、製造業特有の期末の決算整理事項や財務諸表作成を問う問題などを商業簿記のカテゴリーにおいて総合問題として出題することになりました。

試験問題は商業簿記の論点と工業簿記の論点が総合問題になっただけと考えられるため、それぞれの論点を個別に学習したうえで相互の関係性を理解すればよいものと思われます。

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