役員報酬の仕訳の書き方と法定福利費の科目の解説

役員報酬は、会社の取締役などの役員に対して、会社が定めた額を支給する報酬です。

定款または株主総会の決議によって決定し、基本的には1年間を通して、毎月同じ額を支給することになります。

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役員報酬の仕訳

役員報酬の仕訳

会社が役員に対して役員報酬を支払う際には、定められた役員報酬の額がそのまま支出として会社から出ていくわけではありません。

役員報酬の支給時には、税金や社会保険料を天引きする必要があります。

役員個人へは、これらの天引きした額を差し引いた残りを報酬として支払うことになります。

役員報酬を計上する仕訳の書き方

役員報酬は、会社にとっての費用であり、基本的には販売費及び一般管理費に計上します。

また、税務上も要件を満たす限り、会計上費用計上した額がそのまま損金に算入されます。

役員報酬を計上する際の仕訳を示すと次のようになります。

借方金額貸方金額
役員報酬××未払金 ××
(差引支給額)
預り金 ××
(健康保険料:従業員負担分)
預り金××
(厚生年金保険料:従業員負担分)
預り金××
(源泉所得税)
預り金××
(住民税)

借方に用いる勘定科目は「役員報酬」ですが、貸方に役員報酬から天引きするものを「預り金」として計上し、差引支給額を「未払金」として計上するところがポイントです。

天引きするものとしては、税金(源泉所得税および住民税)と、社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料等)の従業員負担分です。

なお、上記の仕訳は、当月分の役員報酬を翌月に支給するケースを前提としています(例えば、末日締め翌月10日払い、など)。

そのため、差引支給額(役員から見れば手取り額)を示す勘定科目は「未払金」を用いています。

また、年齢が40歳以上65歳未満であれば、さらに介護保険料の負担もありますので、こちらも従業員負担分を預り金として計上します。

役員報酬を支払ったときの仕訳の書き方

実際に翌月になり役員報酬を支払ったときには、次の仕訳を行います。

借方金額貸方金額
未払金××
(差引支給額)
預金××

前月に計上していた未払金を取り崩すとともに、貸方に預金を用いて仕訳を行い、振込額だけ預金残高を減少させます。

役員報酬に関する法定福利費の仕訳

社会保険は、健康保険・介護保険・厚生年金保険の3つを指します。

これらの社会保険料は、会社と役員個人で半分ずつ負担します。

役員個人が負担する分は、役員報酬の仕訳の際に「預り金」勘定を用いて計上していますが、会社負担分については、「未払金」を計上するとともに借方には「法定福利費」勘定を用いて仕訳を行います。

法定福利費も会社にとっての費用です。

法定福利費を計上する仕訳の書き方

社会保険料の会社負担分を法定福利費として計上する仕訳は次のとおりです。

借方金額貸方金額
法定福利費××未払金××
(健康保険料:会社負担分)
未払金××
(厚生年金保険料:会社負担分)

なお、厚生年金に加入している場合には、子ども・子育て拠出金(児童手当拠出金)というものも発生しますが、これには従業員負担分はなく、全額を会社が負担します。

子ども・子育て拠出金の料率は、平成31年4月以降は1,000分の3.4(0.34%)となっています。

社会保険料を納付したときの仕訳の書き方

社会保険料は、健康保険組合や年金事務所から送付される納入告知書に基づいて納付することになります。

納付したときの仕訳は以下のようになります。

借方金額貸方金額
預り金××
(健康保険料:従業員負担分)
預金××
預り金××
(厚生年金保険料:従業員負担分)

未払金××
(健康保険料:会社負担分)
未払金××
(厚生年金保険料:会社負担分)

役員報酬の仕訳を行った際に計上していた「預り金」と、法定福利費の仕訳で計上した「未払金」を取り崩し、まとめて預金を減少させる仕訳となります。

役員報酬の仕訳のまとめ

役員報酬は毎月発生するものですが、仕訳の書き方に関しては控除項目や社会保険料の会社負担分を計上する必要があるなど、慣れないと難しく感じることもあります。

ただ、仕訳の書き方には「型」がありますので、一度しっかり理解してしまえば、あとは毎月同じ仕訳を行っていくだけですので、最初に正しい「型」を定めてしまうところがポイントです。

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