【持続化給付金の会計処理】勘定科目と収益計上時期について

この記事では、収入が減少した事業者への給付である「持続化給付金」について、実際に給付金を受け取った後の会計処理についてまとめています。

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持続化給付金を受け取ったときの会計処理

持続化給付金の会計処理

持続化給付金は、法人の場合は最大で200万円、個人事業主の場合は最大100万円が給付される制度です。

申請には要件が定められていますが、これを満たしたうえで適正に申請した場合、口座へ給付金が振り込まれます。

持続化給付金を受け取った際の会計処理として、仕訳をするときの勘定科目と収益の計上時期について、正しく理解することが必要です。

持続化給付金の勘定科目

持続化給付金を受け取った場合、収益として計上することになります。

その場合に用いる勘定科目は「雑収入」です。

雑収入は、損益計算書では、営業外収益の区分に計上される勘定科目です。本業から得られる収入ではないものを計上するときに使用する科目です。

なお、収入を計上するために使用する勘定科目としては、ほかに「売上高」や「特別利益」などがあります。

ただ、売上高は、主に会社の本業から得られる収益を計上する勘定科目ですので、給付金を計上するには馴染みません。また、特別利益は、会社のビジネスとは関係がない、臨時的な要因で発生した多額の利益を計上する際に使用するものですので、こちらよりは営業外収益の雑収入を用いたほうが適切です。

ちなみに、税務上、持続化給付金は課税対象とされていますので、決算・申告の際に忘れずに収入に含める必要があります。法人の場合は、法人税・住民税・事業税の計算に含まれますし、個人事業主の場合は課税所得を構成して所得税がかかることになります。

持続化給付金の収益計上時期

持続化給付金は、事業継続に困っている事業者を助ける目的で実施されている制度です。そのため、審査が比較的早くなっています。

ただ、申請から実際の入金までは、ある程度の日数がかかります。申請書類に不備がない場合で、2週間程度です。

そこで問題になるのが、持続化給付金の収益をいつ計上するか、という計上時期の問題です。

考えられる収益計上時期としては、収入(売上)が減少した月、持続化給付金を申請した月、給付決定の通知を受けた月、実際に入金された月など複数のタイミングが考えられます。

このうち、適切な収益計上の時期は、持続化給付金の給付決定の通知を受けた月です。

収入(売上)が減少した月や持続化給付金を申請した月などは、まだ審査が完了しておらず、それだけでは給付されるかどうかが確定していませんので、タイミングとしては早すぎます。また、実際に入金された月の場合、いわゆる現金主義での経理処理となってしまい、事実の発生(=給付の決定)よりも遅いタイミングでの計上となってしまうためです。経理処理は、発生主義(=事実の発生時点で会計処理すること)に基づいて行うことが最も適切な方法です。

なお、給付決定の通知が届くより先に口座に給付金が振り込まれた場合には、入金時点で会計処理を行います。

仕訳(法人と個人事業主の場合)

持続化給付金を受け取った場合に必要となる仕訳を示すと、次の通りとなります。

法人の場合の仕訳

■持続化給付金として、最大の200万円を受け取った場合

借方 金額 貸方 金額
預金 2,000,000 雑収入 2,000,000

→ 決算期末の前後でなければ、上記の仕訳で問題ありません。

■10月末が決算の会社で、10月中に給付決定の通知のみ受けた場合

借方 金額 貸方 金額
未収入金 2,000,000 雑収入 2,000,000

→ 実際の入金が翌事業年度の11月になった場合、その時に未収入金を取り崩し、入金の仕訳をします。

■10月末が決算の会社で、10月中に申請は完了したが、給付決定の通知と入金は翌事業年度(11月以降)となった場合

借方 金額 貸方 金額
(仕訳なし)

→ 翌事業年度に会計処理を行うため、本年度はなにも経理処理しません。

個人事業主の場合の仕訳

■最大の100万円を事業用口座で受け取った場合

借方 金額 貸方 金額
預金 1,000,000 雑収入 1,000,000

■最大の100万円をプライベートの口座で受け取った場合

借方 金額 貸方 金額
事業主貸 1,000,000 雑収入 1,000,000

持続化給付金の会計処理のまとめ

持続化給付金は、受け取った後の会計処理も重要です。

正しい決算と申告を行うためにも、収益を計上する際は「雑収入」で、計上時期は「給付決定の通知を受けた月」に行うことがポイントです。

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