【簿記2級】リース問題の解き方を仕訳でわかりやすく解説

平成29年度の日商簿記検定試験から、2級の論点に「リース取引」が追加されています。

ここでは、簿記2級の合格を目指す受験者向けに、リース取引の概要とリース取引に関する問題の解き方を仕訳例を用いてわかりやすく解説します。

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リース取引とは

オフィスの会議室に置かれたパソコン

リース取引とは、特定の物件の所有者(貸手)が、その物件の借手に対し、契約などで決められた期間に渡りその物件の使用収益をする権利を与えるとともに、借手はその物件の使用料としてリース料を支払う取引を言います。

リース取引は多くの企業で行われており、リース物件としては大規模な製造設備や機械から社有車、コピー機、パソコンに至るまで、種類や金額の規模も様々です。大企業だけでなく、中小企業でも普通に行われています。

簿記2級で出題されるリースの問題

リース取引は、従来すべて簿記1級の出題範囲とされていましたが、平成29年度の試験から2級でも出題されるよう改定が行われています。

ただし、リース取引のすべての論点が2級で出題されるわけではなく、いくつかある論点の中でも非常に簡単な一部の論点だけが2級の範囲になりました。

簿記2級におけるリース取引の出題範囲は次のとおりです。

  • ファイナンス・リース取引の借手側の処理(利子込み法、利子抜き法(定額法))
  • オペレーティング・リース取引の借手側の処理

日商簿記2級でリースと言えば、出題されるのはこれだけです。

ファイナンス・リースかオペレーティング・リースのどちらのリース取引に該当するかは、2級の試験では問題文で与えられます。また、ファイナンス・リース取引には利子込み法と利子抜き法の2種類があり、こちらについても問題文でどちらの方法を選択するか指定されます。そのため、まとめると、2級のリース問題の解答パターンとしては、①ファイナンス・リース取引の利子込み法、②ファイナンス・リース取引の利子抜き法、③オペレーティング・リース取引の3パターンがある、ということになりますので、仕訳はこの3パターンを覚えておく必要があります。

リース問題の解き方と仕訳

黒板に書かれたGOALSの文字

簿記2級で出題されるリース問題の解き方を、具体例と仕訳を用いて見ていきます。

前提:リース契約の内容

ある企業がリース会社から以下の備品をリースにより調達したとします。

名称 リース開始日 リース期間 リース料 見積現金購入価額
器具備品 ×1年4月1日 5年間 年間 50万円 230万円

リース料は年間50万円で、毎年3月31日にリース会社に支払う契約を結んでいるとします。

この企業の事業年度は、4月1日から3月31日までです。

このとき、備品を借りた側の企業が行うべき会計処理は次の3パターンです。

問題1:ファイナンス・リース(利子込み法)で処理する場合

リース取引がファイナンス・リース取引と判定され、かつ、利子込み法で処理する問題の場合、リース料総額から利息相当額を控除しない額を取得価額としてリース資産を計上します。

この例では、リース料総額は250万円(年間50万円×5年)であるのに対し、見積現金購入価額は230万円ですので、仮にリースではなく一括で現金で購入したとしたら230万円で買える備品を、リース契約により支払いを年払いに遅らせることで250万円かかってしまう、ということを意味します。

つまり、リース料総額と見積現金購入価額の差額である20万円(250万円-230万円)は、支払いを分割にしたことに伴う利息と考えることができます。

利子込み法では、この利息相当額を含めてリース資産を計上します。

<リース契約開始時(×1年4月1日)の仕訳>

利子込み法では、リース期間(5年間)で支払うべきリース料の総額を利息も含めて資産・負債に計上します。見積現金購入価額は使いません。

借方 金額 貸方 金額
リース資産 2,500,000 リース債務 2,500,000

<1回目のリース料支払い時(×2年3月31日)の仕訳>

リース料の支払い時に、支払ったリース料と同額のリース債務を取り崩します。

借方 金額 貸方 金額
リース債務 500,000 現金預金 500,000

<期末決算日(×2年3月31日)の仕訳>

ファイナンス・リース取引により取得した備品は、普通に購入した固定資産と同じように減価償却を行います。

減価償却は、リース期間を耐用年数とする定額法により行うものとします。1年あたりの減価償却費は50万円(250万円÷5年)となります。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 500,000 リース資産減価償却累計額 500,000

問題2:ファイナンス・リース(利子抜き法)で処理する場合

問題1では利子込み法による仕訳を確認しましたが、次に利子抜き法による仕訳を見ていきます。

利子抜き法では、初めにリース資産を計上するタイミングで、リース料総額から利息相当額を控除した額を取得価額としてリース資産を計上します。

<リース契約開始時(×1年4月1日)の仕訳>

リース料総額から利息相当額を控除した額とは、要するに見積現金購入価額(230万円)です。この額で資産・負債を計上します。

借方 金額 貸方 金額
リース資産 2,300,000 リース債務 2,300,000

<1回目のリース料支払い時(×2年3月31日)の仕訳>

リース料の支払い時に支払利息を計上します。

利息相当額は、5年間の総額で20万円(リース料総額250万円と見積現金購入価額230万円の差)ですので、この20万円を5年間にわたって定額法により配分すればよいことになります。

すなわち、1年あたりの利息は4万円(20万円÷5年)です。

借方 金額 貸方 金額
リース債務 460,000 現金預金 500,000
支払利息 40,000

<期末決算日(×2年3月31日)の仕訳>

減価償却は問題1と同じように計上しますが、そもそもリース資産の取得価額は利子分が控除された230万円ですので、これを5年の定額法で償却すると、1年あたりの減価償却費は46万円(230万円÷5年)となります。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 460,000 リース資産減価償却累計額 460,000

問題3:オペレーティング・リースで処理する場合

問題1と問題2では、このリース取引がファイナンス・リース取引と判定されたケースを見てきましたが、ファイナンス・リース取引の要件を満たさずオペレーティング・リース取引と判定された場合の仕訳を見ていきます。

オペレーティング・リース取引の仕訳は簡単で、単にリース料を支払ったときに支払リース料を計上すればよいだけです。

リース資産の計上や減価償却などは必要ありません。

<リース契約開始時(×1年4月1日)の仕訳>

仕訳なし

<1回目のリース料支払い時(×2年3月31日)の仕訳>

リース料の支払い時に、支払った額をそのまま支払リース料としてPL(損益計算書)に計上します。

借方 金額 貸方 金額
支払リース料 500,000 現金預金 500,000

<期末決算日(×2年3月31日)の仕訳>

仕訳なし
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