記帳事務を効率的に行えることで導入する企業が増えているクラウド会計ソフトですが、メリットだけに目を向けるのではなく、デメリットもしっかりと理解したうえで利用することが大切です。
クラウド会計ソフトのデメリット
クラウド会計ソフトを利用する場合に知っておくべきデメリットについて、従来型の端末にインストールする方式の会計ソフトとの比較を交えて見ていきます。
1.ネットワーク環境に依存
クラウド会計ソフトはインターネットを通じて利用するものですので、当然ながらネットワークに接続されていることが利用するための最低条件です。
昔からある端末にインストールする方式の会計ソフトでは、インターネットに接続することなくオフラインで利用することもできますが、クラウド会計ソフトは基本的にオンラインの状態にあることが必須です。
そのため、インターネットに接続できない場所や、何かしらのネットワーク障害が発生した場合には、クラウド会計ソフトを利用できないというデメリットがあります。
したがって、安定的にクラウド会計ソフトを利用するためには、最低限のネットワークインフラを構築しておく必要があります。
2.セキュリティリスクと安全性
上記のネットワーク環境に関するデメリットとも関連しますが、クラウド会計ソフトはデータがクラウド上に存在しますので、端末インストール型の会計ソフトとは異なりインターネット特有のセキュリティの問題が生じます。
深刻なものとしては、データセンターがハッキングを受け、会計情報が不正に流出させられてしまうことも考えられます。
サービスを提供する各社はセキュリティリスクに対し万全の対策をとっていますが、データがクラウド上にある以上、悪意を持った第三者から攻撃を受けるリスクはゼロとは言い切れません。
セキュリティ技術は日々進歩していますが、攻撃者の手口も日々巧妙化していますので、思いもよらない方法で攻撃を受けてしまうリスクも認識しておく必要があります。
3.ランニングコスト
料金体系でクラウド会計ソフトと端末インストール型の会計ソフトを比較した場合に最も大きく異なる点は、「月額料金」か「初期投資」か、という点です。
端末インストール型の会計ソフトの場合、一般的には、導入時にのみ一括で料金を支払う、いわゆる買い切り型の料金体系です。
一方、クラウド会計ソフトの場合は月額または年額が定められていることが多く、利用期間に応じて料金を払い続けることになります。
そのため、クラウド会計ソフトは、利用期間が長くなれば長くなるほど料金が高くなってしまう傾向にあり、この点がデメリットと言えます。
4.税理士のクラウド対応
クラウド会計ソフトは、比較的新しいタイプの会計ソフトです。
そのため、操作方法を熟知している税理士がそれほど多くないというデメリットがあります。
記帳や確定申告をすべて自分で実施しているうちは問題になりませんが、本業が忙しくなり経理周りの事務を全て税理士に外注するという際には、クラウド会計ソフトに理解のある税理士を探す必要があります。
創業して間もないころは自分で経理をするつもりであっても、実際には、事業が拡大するにつれて税理士等の専門家に依頼することが多くなります。
5.サービスの継続性
クラウド会計ソフトのサービスを提供している企業の継続性も重要なポイントです。
会計情報はすべてサービス提供会社が構築するクラウド上に存在するため、万が一、その会社が倒産してしまうようなことがあれば、同じ会計ソフトを使い続けることが出来なくなってしまいます。
会計ソフトは、サービスを提供する会社によってさまざまなデータ形式で情報が記録されているため、他社のソフトに乗り換えることは簡単なことではありません。
また、いったん慣れてしまった会計ソフトを他社のものに切り替えるとなると、また一から操作方法を習得しなければなりませんので、非常に効率性を害します。
サービスの継続性の見極めを誤ることは、ユーザーにとって大きなデメリットとなります。
クラウド会計ソフトのデメリットのまとめ
クラウド会計ソフトには上記のようなデメリットがありますので、導入する際は事前によく調べておく必要があります。
もちろん、デメリットはあるものの、それを上回るメリットもありますので、メリット・デメリットを十分に比較検討して最適な会計ソフトを選ぶことが重要です。