小規模企業共済の税金メリット【フリーランス・個人事業主向け】

フリーランスや個人事業主には会社員のような退職金制度がありません。

したがって、老後の生活資金のために自分で準備をしておかなければなりませんが、小規模事業者は税金メリットの大きい「小規模企業共済」という制度を利用することができます。

スポンサーリンク
01 レクタングル (大)

小規模企業共済とは

老後

小規模企業共済とは、小規模な事業を営む経営者のための退職金制度とも呼ばれている制度で、毎月お金を積み立てていくことで事業を辞めた時などに退職金のように共済金を受け取ることができる制度です。

中小企業基盤整備機構という独立行政法人が運営しています。

独立行政法人とは、国の省庁からは独立しているものの、業務の内容や資金的な面で国がバックについている組織です。

そのため、小規模企業共済制度の運営主体はかなり安全性の高い組織と言えるでしょう。

小規模企業共済制度は税金の面で多くのメリットがあるため、個人事業主やフリーランスにとっては節税の手段としてぜひ活用したい制度です。

小規模企業共済の税金面でのメリット

小規模企業共済の税金メリット

小規模企業共済の税金面でのメリットは、掛金を支払うとき共済金を受け取るときに生じます。

掛金が全額所得控除になる

小規模企業共済の毎月の掛金は、全額が所得控除になります。

「全額が所得控除になる」とは、全額経費で落ちるイメージと同じです。

つまり、所得税は課税所得に税率を乗じて計算するのが基本的な構造ですが、小規模企業共済に入ればこの税率を乗じる元となる課税所得から掛金として支払った額を差し引くことができるということです。

そのため、本業の事業から利益が出て課税所得を確保できる年度については大きな節税効果が見込めます。

なお、事業の状況によっては毎年利益が出るとは限りません。

経営が苦しくなれば、毎月掛金を納付することが難しくなることも想定されます。

小規模企業共済では、掛金を1,000円から70,000円の範囲で500円単位で自由に設定することができますので、どうしても掛金の納付が苦しくなった場合は減額することもできます。

ただし、掛金の減額には若干のデメリットもありますので、減額を検討する際は事前に詳細をよく確認するようにしましょう。

共済金の一括受取で退職所得扱い

支払った掛金は、最終的に事業を辞めたりしたときに戻ってきます。

この戻ってくるお金を、小規模企業共済では「共済金」または「解約手当金」と呼びます。

共済金を一括で受け取れば、税制上は退職所得と同様に扱うことができます。

退職所得は通常の所得とは異なり、老後の生活資金を確保する観点から税負担が軽くなるように設計されています。

退職所得の計算式は次のとおりです。

退職所得=(収入金額 - 退職所得控除額) ×  1 / 2

この計算式を見てわかる通り、退職所得は収入金額から退職所得控除額を差し引いた残額に対し、無条件に1 / 2を乗じることができます。

これは、税率を乗じる前段階の課税所得を半分にすることができることを意味します。

また、退職所得控除額も勤続年数が長いほど控除が大きくなるため、非常に優遇された制度と言えます。
なお、共済金ではなく「解約手当金」として受け取った場合は退職所得扱いにはなりません。解約手当金は、自分で任意に解約した場合や掛金を12か月以上滞納した場合に強制的に解約されるものであるため、退職金という性質ではないためです。解約手当金は一時所得に該当し、税金面でメリットを受けられなくなるため注意が必要です。

共済金の分割受取で公的年金等の雑所得扱い

共済金は、一括で受け取るだけでなく、年金のように分割で受け取る方法を選択することもできます(ただし、分割で受け取るには60歳以上であることや共済金が300万円以上であることなど、いくつか要件があります)。

分割で受け取れば、共済金は公的年金等の雑所得扱いとなります。

公的年金等の雑所得も退職所得と同じように、一般的には担税力の乏しい高齢者が受け取るものであることを考慮して、通常の所得よりも優遇された控除を受けることができるよう制度設計されているため、税負担を軽減することができます。

なお、共済金は一括受取と分割受取を併用することも可能です。併用する場合、一括分は退職所得扱い、分割分は公的年金等の雑所得扱いとなります。
****************************
スポンサーリンク
01 レクタングル (大)
01 レクタングル (大)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする