2019年4月1日、菅官房長官より、新元号が「令和(れいわ)」となることが発表されました。
天皇陛下の退位に伴い、「平成」は2019年4月30日で終了し、2019年5月1日からは「令和」となります。
元号の変更に伴い、経理・決算実務に影響する事項として、次のような点が考えられます。
令和への改元で経理・決算に影響する対応事項
1.会計ソフト・システムの新元号(令和)への対応状況
会計ソフト・会計システムでは、伝票の起票日付や各種帳票の日付を入力します。
自社の使用しているソフト・システムの中で、どの部分に和暦が使われているか把握しておくとともに、それらのシステムが新元号「令和」にどのように対応していく予定か、確認しておく必要があります。
クラウド型の会計システムでは、4月1日以降のアップデートで、順次「令和」に対応するようになるものが多いようです。
また、継続的な保守サービスの契約を締結している場合も、基本的には、サービス提供会社により改元対応のためのアップデートやシステム変更が行われることになると考えられます。
なお、これらの対応は自社のソフト・システムだけでなく、外部の他企業とデータをやり取りしている場合も、他企業のデータ形式が新元号に対応しているかどうか確認し、お互いのシステムでエラーが生じないように注意しておくことが必要です。
2.小切手・手形を「令和」へ変更する必要性
伝統的に、小切手や手形に記載する日付には和暦が使われています。
小切手の場合は振出日や提出日の日付、手形の場合は支払期日などの日付の部分です。
新元号「令和」となった後に「平成」表記の小切手や手形が使用できるかどうかについては、全国銀行協会のホームページに、「平成表記の手形・小切手用紙は改元後(2019年5月1日以降)もご利用いただけます。」と記載されています。
また、「平成表記の手形・小切手用紙を改元後も使用する際には、「平成」の文字を新元号に修正いただくことが考えられますが、新元号表記への修正や訂正印がない場合でも、金融機関はこれを新元号によるものと読み替えて取り扱うため、不渡となることはありません。」とも記載されているため、特に修正を行わなくても実務上は大きな問題はないようです。
訂正する場合、二重線付きのゴム印を使うと便利です(新元号 令和 訂正 ゴム印 3本 セット 消し棒付き)。
なお、令和初年度に小切手・手形に日付を表示する方法については、「令和元年×月×日」と表示しても「令和1年×月×日」と記載しても、どちらでもよいとのことです。
3.決算資料の表示(平成・令和・西暦)
決算にかかわる様々な資料にも影響があります。
企業であれば、会社法に基づき、事業報告書・計算書類を作成する必要があり、上場企業であれば、外部に公表する資料として、決算短信や有価証券報告書、四半期報告書を提出する必要があります。
これまで「平成」で記載していた部分に関して、自社の決算期によっては期の途中で改元(平成から令和)をまたぐこともあります。
なお、今回の平成から令和への改元を機に、和暦から西暦に変更する会社も見られます。
特に、上場企業が提出する決算短信や四半期報告書などの書類は、平成から令和への改元を見据えて、すでに2019年度の書類(3月期決算の会社であれば2018年6月の第1四半期の開示書類)から西暦への変更が済んでいる会社も多くあります。
その場合、報告書の表紙の部分に「(注)第1四半期連結会計期間より、日付の表示を和暦から西暦に変更しております。」という注書きを入れている会社が多く見受けられます。
まとめ
新元号が「令和」となることが発表されたことで、経理・決算実務にもいくつかの影響があると考えられます。
特に、昭和から平成となった当時とはITシステムなどの観点で、状況が大きく異なります。
予期しない不具合で業務に支障が生じることがないよう、準備を進めておくことが大切です。