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【収益認識基準】履行義務の識別(ステップ2)の解説

収益認識会計基準においては、収益を認識するために5つのステップを踏んで検討することが示されています。

「履行義務の識別」は、この5つのステップのうち、2番目のステップで検討する事項です。

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履行義務の識別とは

履行義務とは、顧客との契約において、財又はサービスを顧客に移転する約束を言います。

履行義務は、ひとつの契約の中に複数含まれている場合があります。

例えば、機械装置の製造・販売を行う企業において、顧客との契約の内容に機械の引き渡しだけではなく、部品の調達や装置の製造、組み立て、試運転などが含まれているようなケースです。

履行義務の識別のステップにおいては、履行義務を別個のものとして識別すべきかどうかの判定を行い、別個のものと判断される場合には、区分して履行義務を識別することになります。

次の2つの識別要件の両方に該当する場合は、その履行義務は別個のものとして判断されることになります。

履行義務の識別要件

履行義務の識別要件は次の2点です(収益認識会計基準 第34項)。

  1. 当該財又はサービスから単独で顧客が便益を享受することができること、あるいは、当該財又はサービスと顧客が容易に利用できる他の資源を組み合わせて顧客が便益を享受することができること(すなわち、当該財又はサービスが別個のものとなる可能性があること)
  2. 当該財又はサービスを顧客に移転する約束が、契約に含まれる他の約束と区分して識別できること(すなわち、当該財又はサービスを顧客に移転する約束が契約の観点において別個のものとなること)
履行義務が別個のものとして判断されるのは、この2つの要件の両方を満たす場合です。

ここで、さらに上記の1の要件について、次のいずれかを行うことができる場合には、財又はサービスが別個のものとなる可能性がある、とされています。

①財又はサービスの使用、消費、あるいは廃棄における回収額より高い金額による売却
②経済的便益を生じさせる①以外の方法による財又はサービスの保有

「財又はサービスと顧客が容易に利用できる他の資源を組み合わせて顧客が便益を享受することができること」の具体例として、例えば企業が取得した製品をそのままの状態では使用できない場合であっても、他の企業や顧客が据付作業等を行うことで、その製品を使用可能な状態にすることが可能となるようなケースが挙げられます。

一方、財又はサービスを顧客に移転する複数の約束が区分して識別できないことを示す要因として、以下の3点が例で示されています。

  1. 当該財又はサービスをインプットとして使用し、契約において約束している他の財又はサービスとともに、顧客が契約した結合後のアウトプットである財又はサービスの束に統合する重要なサービスを提供していること
  2. 当該財又はサービスの 1 つ又は複数が、契約において約束している他の財又はサービスの 1 つ又は複数を著しく修正する又は顧客仕様のものとするか、あるいは他の財又はサービスによって著しく修正される又は顧客仕様のものにされること
  3. 当該財又はサービスの相互依存性又は相互関連性が高く、当該財又はサービスのそれぞれが、契約において約束している他の財又はサービスの 1 つ又は複数により著しく影響を受けること

上記1の「結合後のアウトプットである財又はサービスの束に統合する重要なサービス」とは、顧客に対する企業の約束の相当部分が、個々の財又はサービスを結合後のアウトプットに確実に組み込むことを意味しており、個々の財又はサービスの移転に係るリスクを区分できない状況です。

そのため、例えば、著しい修正を伴わないソフトウェアの単純なインストール・サービス等は、重要な統合サービスとは言えず、これには該当しません。

履行義務の識別についての具体例

例えば、建設会社が建物の建築工事を行う場合、顧客との間で、設計業務、基礎工事、部材の調達、建設、配管と配線、設備の据付け及び仕上げなどの、いくつかの財又はサービスを提供する契約を締結するとします。

これらの財又はサービスの多くは、この建設会社や同業他社によって、日常的に独立して他の顧客にも提供されています。

このようなケースにおいては、それぞれの財又はサービスが、単独で、あるいは顧客が容易に利用できる他の資源と組み合わせて便益を享受できること、および、顧客が個々の財又はサービスから、それらの使用、消費、売却又は保有によって経済的便益を生み出すことができるため、別個の履行義務として識別するとも考えられます。

一方、それぞれの財又はサービスが、最終的に建物を完成させるための重要なサービスを提供する場合には、契約に含まれる他の約束と区分して識別できないと判断するための要素となります。

このように、2つの側面から検討を行うことにより、会計基準第34項に規定されている履行義務の識別要件の両方を満たすわけではないと判断されれば、当該財又はサービスは別個のものではなく、単一の履行義務として処理すると結論付けることになります。

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