税理士試験の合格率と科目ごとの特徴

税理士試験は合計11科目の試験科目が設けられており、この中から5科目を合格することができれば最終的に合格となります。

税理士試験は必須科目と選択科目の組み合わせで構成されており、それぞれの科目の特徴と合格率を把握したうえで対策することが重要です。

スポンサーリンク
01 レクタングル (大)

税理士試験の合格率

グラフ

まず、ここ最近の税理士試験の結果を見ていきます。

平成30年度(第68回)税理士試験の合格率

平成30年度の第68回(試験日:平成30年8月7日~9日)実施の試験について、科目別の合格率は以下のようになっています。

試験科目 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
簿記論 11,941 1,770 14.8%
財務諸表論 8,817 1,179 13.4%
所得税法 1,704 209 12.3%
法人税法 4,681 542 11.6%
相続税法 3,089 363 11.8%
消費税法 7,859 833 10.6%
酒税法 546 70 12.8%
国税徴収法 1,703 182 10.7%
住民税 460 63 13.5%
事業税 418 46 11.0%
固定資産税 845 126 14.9%

全科目合計(延人数ベース)の合格率は、12.8%です。

平成29年度(第67回)税理士試験の合格率

平成29年度の第67回(試験日:平成29年8月8日~10日)実施の試験について、科目別の合格率は以下のようになっています。

試験科目 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
簿記論 12,775 1,819 14.2%
財務諸表論 10,424 3,081 29.6%
所得税法 1,787 233 13.0%
法人税法 5,133 619 12.1%
相続税法 3,303 400 12.1%
消費税法 7,979 1,065 13.3%
酒税法 623 76 12.2%
国税徴収法 1,643 191 11.6%
住民税 456 65 14.3%
事業税 496 59 11.9%
固定資産税 843 112 13.3%

全科目合計(延人数ベース)の合格率は、17.0%です。

試験科目ごとの特徴

分析

次に、試験科目ごとの特徴を見ていきます。

簿記論と財務諸表論は必須科目

全11科目の中から5科目の合格を目指すことになりますが、どれでもよいわけではなく、簿記論と財務諸表論の2科目についてはすべての受験者で必須となります。

企業の経済活動を仕訳として記録する簿記と、その記録を財務諸表として報告するための方法論である財務諸表論は、会計・税務実務の基本となる重要な領域です。

合格率は以下のように推移しています。

試験科目 平成26年度
(第64回)
平成27年度
(第65回)
平成28年度
(第66回)
平成29年度
(第67回)
平成30年度
(第68回)
簿記論 13.2% 18.8% 12.6% 14.2% 14.8%
財務諸表論 18.4% 15.6% 15.3% 29.6% 13.4%

平成29年度の財務諸表論は全体的に問題の難易度が低かったこともあり、合格率が突出して高くなっています。これは近年では異常値と言える水準でしたが、平成30年度は例年通りの合格率に戻っています。

平成29年度の財務諸表論を除けば、概ね10%台で推移することが通常となっています。

簿記論と財務諸表論は同じ会計科目に属しますので、内容的にも相互に関連性があります。

したがって、税理士試験は1科目ずつ合格を目指せる試験ではあるものの、この2科目は同時に学習を進めていくことが効率的です。具体的には、簿記論で計算問題を解きながら財務諸表論でその理論的背景をおさえていくイメージです。

法人税法と所得税法は選択必須科目

法人税法と所得税法は選択必須科目とされており、2科目のうち1科目は必ず合格しなければならないことになっています。もちろん、両方の科目を選択し、合格することも可能です。

法人税法は企業に課される税金を扱い、所得税法は個人の税金を対象にします。

この2科目の受験者数は以下のようになっており、法人税法を選択する受験者数が所得税法の約3倍と多くなっています。

試験科目 平成26年度
(第64回)
平成27年度
(第65回)
平成28年度
(第66回)
平成29年度
(第67回)
平成30年度
(第68回)
法人税法 6,635人 6,079人 5,642人 5,133人 4,681人
所得税法 2,123人 2,005人 1,891人 1,787人 1,704人

合格率は以下のように推移しています。

試験科目 平成26年度
(第64回)
平成27年度
(第65回)
平成28年度
(第66回)
平成29年度
(第67回)
平成30年度
(第68回)
法人税法 12.4% 11.1% 11.6% 12.1% 11.6%
所得税法 13.2% 13.2% 13.4% 13.0% 12.3%

合格率に関しては所得税法のほうが若干高くなっていますが、合格率のみで選択科目を決めるほどの差はなく、将来実務でどのような業務に携わりたいかを見据えて選択するほうがよいでしょう。

また、実務に就いた際に企業・個人を問わず広く対応していきたいと考える場合は両方を学習することも十分検討に値します。特に個人の会計事務所で働く場合や独立開業を考えている場合は、法人税法・所得税法の両方を取り扱う機会が多くなります。

税理士試験の内容は実務に直結する分野が多くあるため、試験対策のみを考えるのではなく、将来のビジョンもよく考えたうえで慎重に選択することが重要です。

その他の選択科目

上記以外に純粋な選択科目として、相続税法、消費税法、酒税法、国税徴収法、住民税、事業税、固定資産税の7科目があります。

受験者数は以下のようになっており、消費税法を選択する受験者が最も多く、次いで相続税法、国税徴収法の順となっています。

試験科目 平成26年度
(第64回)
平成27年度
(第65回)
平成28年度
(第66回)
平成29年度
(第67回)
平成30年度
(第68回)
相続税法 4,073人 3,895人 3,636人 3,303人 3,089人
消費税法 9,713人 9,249人 8,508人 7,979人 7,859人
酒税法 774人 756人 669人 623人 546人
国税徴収法 1,482人 1,496人 1,481人 1,643人 1,703人
住民税 682人 626人 549人 456人 460人
事業税 771人 638人 566人 496人 418人
固定資産税 1,098人 934人 947人 843人 845人

消費税法は身近な税であるため選択する受験者が多く、相続税法も将来独立して相続専門で開業したい場合などに非常に役に立つため受験者数が多くなっています。

学習時間は、一般的に相続税法が最も時間を要し、次いで消費税法となります。

それ以外の科目は上記2科目と比べてボリュームが少なく、特に国税徴収法と酒税法は最も短い時間で学習することが可能ですので、短期合格を狙うならおすすめです。ただし、酒税法と消費税法はいずれか一方の科目しか選べないため注意が必要となります。

そのほか、住民税と所得税法は学習範囲が重複している部分があるため、すでに所得税法を学習している場合は取り組みやすい科目であったり、事業税と法人税法も根本となる考え方が同じであることから両者を関連させて学習を進めることができます。なお、住民税と事業税はいずれか一方の科目しか選べません。

合格率はどの科目も10%前半程度で推移することが通常ですので、将来の実務を考慮して選択するか、自分が受かりやすいと考えるものを選択するのがよいでしょう。

スポンサーリンク
01 レクタングル (大)
01 レクタングル (大)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする