高金利通貨として人気のトルコリラ(TRY)
トルコリラ(TRY)といえばなんと言っても高金利が魅力の通貨です。そのため、スワップポイントを狙った長期運用を目指す投資家にとても人気があります。
通貨としては必ずしもメジャーとは言えませんが、FX取引の世界ではよく知られた通貨です。日本でもトルコリラを取り扱っているFX業者はいくつもあります。
トルコの基礎データ
トルコについての基本的なデータは以下の通りです。
人口 | 約7,981万人 |
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面積 | 約78万平方キロメートル |
首都 | アンカラ(人口約527万人) |
公用語 | トルコ語 |
産業 | サービス業(約59%) 工業(約24%) 農業(約5%) |
主要貿易相手国 | 輸入:中国(12.8%)、ドイツ(10.8%)、ロシア(7.6%) 輸出:ドイツ(9.8%)、英国(8.2%)、イラク(5.4%) |
GDP | 8,567億ドル |
民族 | トルコ人、クルド人、アルメニア人、ギリシャ人、ユダヤ人等 |
トルコは、イスラム圏の諸国の中では大国であり、オスマン帝国時代から東洋と西洋の貿易の中継点として栄え、東西の宗教・文化・社会が融合した魅力的な都市が形成されてきた歴史のある国です。
経済については、過去にハイパーインフレに見舞われ景気が大幅に落ち込み、その後2001年には通貨危機に陥って国際通貨基金(IMF)の管理下に入った時期もありましたが、その後は高金利政策や実質的なデノミネーション(通貨切り下げ)の実施などにより順調に回復しています。
トルコの政策金利の推移
トルコの政策金利は下記のように推移しています。
2008年のリーマン・ショック以降に多くの国が金利を非常に低くを維持するようになりましたが、トルコの政策金利もこのときは諸外国と同様に大きく引き下げられました。
なお、2014年に政策金利が一気に4.5%から10%へ大幅に引き上げられたことが目を引きます。これは、アメリカにおける金融緩和縮小観測の広がりからアメリカの金利先高観が強まり、トルコを含む新興国通貨から投資資金が引き上げられたためにトルコリラが大幅に下落したことから、それに伴う物価上昇やトルコ経済への悪影響を抑えるための施策でした。
ただ、政策金利の引き下げを行ったとはいえ、先進国のメジャー通貨や高金利通貨として知られる南アフリカランドなどと比較しても依然として高い水準にあるため、トルコリラを取引する投資家は、買いポジションを保有することによる大きなスワップポイントを受け取ることができるという魅力があります。
その後、トルコの政策金利は2018年5月に一転して急騰し、現在は24.0%となっています
トルコリラの特徴1:流動性が低い
トルコリラはマイナー通貨であることから、米ドルやユーロ、円などのメジャー通貨に比べ流動性がとても低い通貨です。流動性が低いということは、マーケットにおける価格形成が不安定になりやすいことを意味します。
したがって、ちょっとしたニュースなどでも値動きが荒くなることがあり、想定していないような急激な為替変動により損失を被るリスクが高まることになります。
また、日本の祝日などで取引量が少ないタイミングを狙って、海外のヘッジファンドが仕掛け的な動きを見せることもあり、結果として瞬間的に大幅な為替レートの変動となることもあります。「ミセスワタナベ狩り」とも呼ばれます。
トルコリラの特徴2:地政学的なリスクがある
トルコはその立地から地政学的リスクが強く意識される環境下にあり、中東からの難民問題や国内における民族対立、過激派組織IS(イスラム国、イスラミックステート)の活動によりテロが発生するリスクも高く、治安の悪化が海外からの積極的なトルコ進出を阻む要因となっているなど、中東特有の深刻な問題を抱えています。
また、歴史的な経緯からロシアとの利害が対立している状況が継続しており、これが隣国のシリアにおける内戦などの問題を複雑にしている要因になっています。